いろんな働き方のクリエーターに聞いてみた!
File.3 加藤雄一さんに聞いてみた!【後編】

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もくじ

大学時代からどっぷり漫画漬け!@漫画家の加藤雄一さんにインタビュー!

File.3

加藤雄一  

愛知在住の漫画家。ヤングキングにて「 やんちゃギャルの安城さん」を連載中。
過去連載作品には「ヒニイル」、「エウレカセブンAO」などがある。
トウコとは出身大学が一緒。

学校で仕事をしてた時の話を教えてください

加藤雄一さん

漫画を教えるって感じだったんですけど、
何を教えるのがためになるのかみたいなのが
最初よく分からなかったんで

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

アシスタント中で得た、効果線はこう描くんだよとか笑
技術的なことを最初は結構中心に教えてて

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

僕自身漫画で売れたとか実績があったわけじゃないから、
一応ストーリーの組み立て方とかそういう授業もやったんですけど、
僕が言ってもこれ説得力ないよなと思って。

トウコ

うーん

加藤雄一さん

それよりは技術的なところと、
漫画を描き始めた頃に一番知りたかったことで、
プロになるにはどうしたらいいかっていうのを
教えるっていうことを中心にやってました。
持ち込みはこうやるんだよとか、
持ち込みの時はこういうメールの出し方をするんだよとか。

トウコ

あーなるほど

加藤雄一さん

賞に応募する時はこういうふうにするんだよとか、
技術面そういうのを中心に。

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

ストーリーとかはもう1人の先生が結構詳しくやってたんで、
僕は最初あんまりやらなかったんですけど、
僕も大学で働きながら結構結果が出ていったので
「エウレカセブンAO」っていう作品をやったりとか、
オリジナルやったりとか

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

まあめっちゃ売れたわけじゃないですけど、
やっていく過程でどんどんこういうふうにした方がいいなって
いうのがだんだん言語化できていったので、
ちょっとずつ漫画を描くときに大事なのはこういう部分だよ、
とか、こういうことがないとストーリーは面白くならないとかが
蓄積されていったので、
蓄積されたら授業で話すみたいな感じでやりました。

トウコ

はあ〜

加藤雄一さん

僕の場合は自分も連載しつつ、
連載で学んだことを学生に流していくみたいな感じでしたね笑

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

授業自体は結構楽しかったですね。
授業以外のことが楽しくなかったんですけど笑

トウコ

あはは笑

加藤雄一さん

営業とか笑 私大だから

トウコ

営業したんですか?!

加藤雄一さん

営業とかしないといけないんですよいっぱい

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

あと会議とか笑 そういうのはすごく嫌だった。
授業自体は楽しかったんです。
学生のネーム見るのも楽しかったし。

トウコ

講師って感じで入ったんですか?

加藤雄一さん

そうですね。
最初は助教っていう講師の一個手前の段階で入ったんですけど、
やってること講師と同じやなってなって。
途中ですぐ講師に変えてもらえて、
そこからはずっと講師でした。

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

10年くらいやって辞めましたね

トウコ

10年もやってたんだ!? すごーい!

加藤雄一さん

11年くらいやってたかな。
最後の2年間非常勤講師だったので。
「もう常勤でやるのは時間的に無理です」ってなったんで

トウコ

ああ〜

加藤雄一さん

だから9年くらいは専任講師をやって、
1、2年は非常勤講師でしたね。

トウコ

両立が厳しくて厳しくてって感じですよね?

加藤雄一さん

無理ですね、もう
徹夜とかしまくってたんで、2徹とか普通にやってたんで。
こんなん続けてたら死ぬって

トウコ

うわ〜

加藤雄一さん

最初は20代っていうのもあってできたけど、だんだんこれ無理になってきたなってなって。

トウコ

あー

加藤雄一さん

結局漫画のクオリティも落ちちゃうし、
それじゃ本末転倒だよなってなって、なので非常勤講師に。
専任講師やってると土日もオープンキャンパスあったりとか
入試があったりとか、土日出勤も当たり前だったんで

トウコ

あーそれはきつい…

加藤雄一さん

そうすると休みほとんどない感じで、
授業の合間合間で原稿やるみたいなのがずっと続いてて、
まとまった時間なんて深夜にしか取れないから笑
徹夜になっちゃうみたいなことがずっと続いてたので、
非常勤に変えてもらって、それも2年間で辞めてって感じですね

どんな勉強方法をしてる?

トウコ

勉強っていうか…うーん

加藤雄一さん

漫画のってことですよね

トウコ

そうですね…
でもなんか、漫画描いてたら
毎日が勉強って感じもしますけど

加藤雄一さん

そうですねー
僕これ学生にも言ってるんですけど

トウコ

うん

加藤雄一さん

漫画家とか漫画の仕事やってる人たち、
よく映画観ろとか小説読めとか、
漫画以外のところで吸収した方がいいって
めっちゃ言ってくるんですよ

トウコ

うんうんうん

加藤雄一さん

それって100%正しいんですけど、
でも僕は今でも「漫画読め」って思ってて。

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

映画観ても漫画の流れと全然違うじゃないですか

トウコ

確かに

加藤雄一さん

小説には独特の尺があって、
映画にも独特の、アニメにも独特の表現方法とか、
そのジャンルごとに独特な表現方法があるんで、
まずは漫画ってこういうものっていう自分の中で確立しないと
漫画なんて描けないから

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

だから僕はいっぱい漫画を読めって言ってる。
僕は今でもめちゃくちゃ漫画買って読んでるんで、
とにかく漫画をできるだけ読む。
なのに有名作読んだりしてないんでアレなんですけど笑

トウコ

笑笑

加藤雄一さん

とにかくいっぱい読むと、面白いって思う瞬間があるじゃないですか
クスッと笑っちゃったりとか。
全体を通して面白かったじゃなくて、
リアルタイムでクスッと笑っちゃった瞬間。
それをなんでかって考えるのがめっちゃいいんですよ。

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

なんで今僕は笑ったんだとか、
なんで今一瞬面白いと思ったんだっていうのを考えると、
そういう時って意外とキャラクターが
本編とは全然違うことやってたりとか、
どうでもいいギャグをやっていたりすることが多くて、
なんでそれを作者が入れたかっていうと、
作者がクスッと笑わせるために入れたんだ。
じゃあなんでそれをやったんだ…って考えていくと
自分の作品に取り入れていける。

トウコ

はあ〜

加藤雄一さん

そういう漫画の呼吸みたいなのは漫画でしか学べないから、どのタイミングで入れるとか映画観ても分からないじゃないですか。映画でもクスッと笑うシーンあるけど漫画でどうやって入れるねん、っていうのは漫画でしか分からないから、そういう意味ではいっぱい漫画を読む、っていう勉強方法が一番大事だと思う。学生にも漫画をいっぱい読むように言ってました。

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

でも漫画高いんで笑
そんないっぱい読めないんですけど

トウコ

加藤雄一さん

まあできるだけ読んでねっていう…。
でも漫画が一番いいですね、漫画の勉強は

トウコ

まあ今の時代だったらネットで
漫画1巻だけ無料ってのも結構あるし

加藤雄一さん

そうですね、だから今いいんですよ、
ジャンプ+とかで読めるじゃないですか作品。
ああいうのめっちゃ良くて、
毎週のように読めばいいじゃんって思いますね

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

今だからいい時代ですよ
漫画勉強するのもいい時代

トウコ

駆け出しの自分にアドバイスするとしたら?

加藤雄一さん

最初の頃を今振り返ると、
何を描きたいのかがちゃんと定まっていないことが
多かったなって思う。

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

何を描きたいっていうのは、
外面の部分はめちゃくちゃ考えてたんですけど、
内側、中身ですね。

トウコ

うん

加藤雄一さん

誰が何をするのか、誰と誰が何をするのかどういう関係になるのか、ちゃんとした部分、そこに自分はどういう興味を持って描くのかという真ん中の部分を考えれてなかったので、そこを考えてその上で、たとえばこのAとBというキャラクター達がこんなことをする話にする、じゃあAの魅力は何かBの魅力は何か考えた上で、2人をどうやって読者さんに見せたら読者さんは喜ぶのか、まず考える笑

トウコ

ふーん

加藤雄一さん

そこはまず絶対考えないといけないよっていうのは言いたい

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

表面的な部分って結構なんでも良くて、
こういう技を使うとかこういうバトルをしたらかっこいいとか、
そういうのって結局なんでも良くて、
でもなんでも良くないところをしっかり考えなきゃダメだよって
思いますね

トウコ

あー、うんうん

加藤雄一さん

キャラクターを追ってるわけじゃないですか読者さんって。主人公だったり周りのキャラクターがどうなるかが見たい。だから、どうなるかが見たいってことはキャラクターが魅力的に映ってないと興味を持ってもらえないわけだから、根幹の部分をしっかり考えようねっていうのを懇切丁寧に説明してあげたいですね笑

トウコ

笑笑

加藤雄一さん

今ぐらいのこと言ったところで、
当時の自分って「はーん、よくみんなが言ってるやつね」
くらいにしかどうせ思わないから、
ちゃんと細かく「お前の漫画見せろ」つって笑

トウコ

あんまり設定とかテーマにこだわりすぎないで、
それよりはキャラクターの心情とかそういう部分を
頑張れっていう感じですか?

加藤雄一さん

そうですね。キャラクターの心情やキャラクターがどうなるのかで、なんでそれをお前は魅力的だと思うのか。
「やんちゃギャルの安城さん」だったら、僕が単純にギャルっていいよねって思ってたんですけど、なんでギャルっていいと思っているのか、そういうところをちゃんと考えて描なかったら、表面的なギャルになっちゃうじゃないですか

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

安城さんが表面的なギャルかそうでないかはちょっと僕には判断できないんですけど、僕なりにこういうところがいいところだよってのがあって、そこをアピールする、安城さんの良さをアピールするネームを描いてるから、そこが伝わった人は面白いって言ってくれてるんだろうなと僕は思ってるので。

トウコ

うん

加藤雄一さん

キャラクターのこいつってこんなにいいんですよってアピールできるネームができてるかどうかが大事なんだよって感じなんですよね

トウコ

なるほど〜

加藤雄一さん

っていうのをめちゃめちゃ授業でもやってましたね

トウコ

へえー

今後の野望について教えてください

加藤雄一さん

アニメ化してほしい笑

トウコ

あはは笑

加藤雄一さん

「安城さん」アニメ化してほしいですね

トウコ

X見てると「あ〜アニメ化してほしいんだな」って
いうのが伝わります笑

加藤雄一さん

もう限界がある笑
僕がどれだけ安城さんを可愛いって、
こんなにいいやつなんだよって説明したところで、
限界がありますね。

トウコ

うーん

加藤雄一さん

でもどうしようもないところなんですよねー
僕が決めるわけじゃないから

トウコ

ははは笑

閲覧者にメッセージを

加藤雄一さん

あんま偉そうなこと言えないですけど、
好きなことやるのが一番いいなってずっと思っていて。
そういうのって運もあると思うんですけど

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

大学の頃にリーマンショックの後で
ちょっと不況だったじゃないですか

トウコ

うん

加藤雄一さん

就職難だったんですけど、僕大学の仕事が決まる前までもずっと漫画でもうやっていこうって思ってて、なんでかっていうと多分どこに就職してもやりたいことじゃないなっていうのが一個あったんですけど、どうせ不況だから雇ってもらえないと思ってたんですよ笑

トウコ

うーん

加藤雄一さん

だったら好きなことやって、今やれる環境になりつつあるから、大学生に好きな環境で漫画を描いていける環境を整えて漫画を描いていってなんとか生きていこうと思ってたんで

トウコ

うん

加藤雄一さん

大学で働き始めたのも、別に大学だったからってわけじゃなくて漫画コースで漫画を教えつつ漫画描けたらいいよねって思ってて、その通りになったんですけど、漫画コースだったから働けたのもあって。ダイレクトじゃなくても好きなこととちょっと関わりのあることを選んでいくのが大事かなって思うし、その方がうまくいくんじゃないかなって思いますね

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

「安城さん」も好きなことしか描いてないので。
漫画の中でも描きたくないのは描かない。
描きたくない興味もない嫌なキャラクターの紹介なんて、
読者さんもついてきてくれないから、
こんなに好きなんだよってのをやらないといけない。

トウコ

うん

加藤雄一さん

全部好きなことっていうのをまず大前提に考えて
やっていくしかないんじゃないかなと思いますね

トウコ

なるほど

加藤雄一さん

運もあると思うんですけど。
僕が今漫画描いてられるのは運が良かったことだと思うので。
むずいですけど。好きなことだったんでね。

トウコ

そうですね
努力と運もあるかもしれないけど、
やっぱり好きなことだから頑張れるんでしょうね

加藤雄一さん

嫌じゃないですか。
やりたくないことで一日時間使ってお金だけもらって生きていくって、
僕はすごくやだなって思ったんで

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

結局お金の悩みとか安定がどうとか、同じなんですよね。
大学で働いてた時も辞めた今も悩んでること一緒。

トウコ

あー

加藤雄一さん

何選んでも結局同じように悩むし同じような不満も出るから、
だったらやることくらいは好きなことやった方が生きていけるかな笑

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

絶望して途中で死んだりしないで済むかなみたいな笑

トウコ

そーだねー

加藤雄一さん

だから絶対好きなことやるっていうのと、
悪いことしないっていうのが一番大事笑

トウコ

悪いことしない笑

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おわりに

加藤くん、たくさんためになる話をして下さいました。

よくよく考えたら、漫画コースで指導していた講師だから、漫画の話をここまで聞けるのって結構貴重では?!
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本当にありがとうございました。

次回も素敵なゲストをお招きします。お楽しみに〜

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