いろんな働き方のクリエーターに聞いてみた!
File.3 加藤雄一さんに聞いてみた!【中編】

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もくじ

大学時代からどっぷり漫画漬け!@漫画家の加藤雄一さんにインタビュー!

File.3

加藤雄一  

愛知在住の漫画家。ヤングキングにて「 やんちゃギャルの安城さん」を連載中。
過去連載作品には「ヒニイル」、「エウレカセブンAO」などがある。
トウコとは出身大学が一緒。

「安城さん」の話を聞かせてください!

著:加藤雄一
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「やんちゃギャルの安城さん」より
加藤雄一さん

「安城さん」の前まで僕結構プロットきっちり作ってからネーム書いてっていうやり方してて。
プロットきっちり作るっていうのは、この巻でこの話やってこの話やって…で、この巻は完成しますっていう一冊のプロットを大体作ってから一話ずつのプロットを細かく作って、ネームを作って行くって感じだったんですけど

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

そのやり方を「安城さん」からはもう無しにして

トウコ

ああ〜

加藤雄一さん

プロットをできるだけ考えないやり方にしてて、今。
あんま良くないんですけど笑

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

毎回毎回もうこれ以上のものは描けないわ
というものを毎回描く、みたいな
ライブみたいなのを大事にしてる

トウコ

そうなんだ

加藤雄一さん

例えば「安城さん」の場合だと、
安城さんがセクシーな感じで瀬戸くんに迫る
っていうのがこの漫画の見どころの部分なんですけど、
限界があるじゃないですかやれることに笑

トウコ

た、確かに笑

加藤雄一さん

これ以上セクシーなことはないだろっていうのを
もう最初からやり続けるっていうそれの積み重ね。
だから毎回前の話より超えていかないけど、
前の話ですでにこれ以上ないだろっていうのをやってるから、
どうしよっていうのを毎回困りつつ描いてる、

「やんちゃギャルの安城さん」より
トウコ

やっぱ困ってるんですね笑

加藤雄一さん

困ります困ります笑
1巻描き終わったところでもう無いって思ってたんで。

トウコ

ああ〜

加藤雄一さん

もうなんなら最初の3話くらい
描いたところでネタ切れしてるんで

トウコ

はははは笑

加藤雄一さん

正直こんなに長く続くと思ってなかったんですよね最初。
さっきちょっと言ったんですけど、
Xに上げててたまたま連載になっただけで、
Xに最初上げたときも落書き程度に上げてたんで

トウコ

うん

加藤雄一さん

最初ほんとにこんな感じのことやりたいなって思ってたことは、
3、4話描いた段階で終わっちゃって。
うわそこからどーしよみたいな…。
どうしたらいいんだろうみたいなのを常にその都度その都度考える、
そのライブ感みたいな笑 いい言い方して笑

トウコ

はは〜

加藤雄一さん

その行き当たりばったりなところが、
「安城さん」描く前の作品には
逆に足りてなかったなって思ってて、

トウコ

そうなんだ?

加藤雄一さん

昔からよく「連載はナマモノだ」みたいなことを
プロの漫画家さんが言ってるんですよ。

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

どういう意味なのかがよく分かってなくて。
今でもちゃんとわかってるわけじゃ無いんですけど、
その都度その都度1話前を超えて行くために何をするのか考えていくと、予定のと全然違うものができたりするんですよ。
結構毎回そうなんですけど。

トウコ

ああ〜

加藤雄一さん

一応ネームを切る前に、
大体こんな話にしようかなって大体は考えてから描くんですけど。
プロットというか頭の中で。

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

その「大体こんな話にしよう」と
全く違う話ができたりするんで笑

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

でもそれが大事なのかもなって思う時が結構ある

トウコ

それは紙に出した時にキャラが勝手に動いたって感じなんですかね。
それとも読者さんの反応とかもある?

加藤雄一さん

読者さんの反応もなくはないんですけど、
よくプロが言う「キャラが勝手に動く」みたいな
かっこいい言い方するとそう言うことなんですけど

トウコ

なるほど

加藤雄一さん

なんていうか、それよりも、
このキャラクターこう言うこと言わないよなって
漫画家側が理性的に判断しているかなって僕は思ってて。

トウコ

ふんふん

加藤雄一さん

最初にたとえば、安城さんが最後にこういういいこと言って
終わる話にしようって描き始めたんだけど、
その流れに行く前に、いやでも安城さん
こんないいこと言う女の子じゃなくね?みたいな笑

トウコ

笑笑

加藤雄一さん

なんかネームを描いていくと冷静になっていくんですよ、僕が

トウコ

はは笑

加藤雄一さん

安城さんってこういう励まし方しなくね?みたいな。
こんなちゃんとしてなくね?みたいな笑
そういう感じでもっとなんかノリで多分この子は生きてて、ノリで自分が楽しいことをした結果、瀬戸くんが勝手に元気づけられる、みたいなのの方が「安城さん」っぽくね?みたいなのをネーム描いてる時に途中で思って、じゃあこの流れだめだよね、ちょっと前から描き直そうかって描き直してって、安城さんは好きなことをやった方がそれっぽいよなって、好きなことをこのタイミングで考え出すっていうのが多分。動き出すってことだと思うんですよ。

トウコ

なるほど〜うんうん

加藤雄一さん

っていうことだと僕は思ってるので、毎回ネーム描いてる時にちょっとでも「これ安城さんっぽくなくね?」っていうところがあったら、まあ安城さんじゃなくて瀬戸くんでもいいんですけど、こういうこと瀬戸くん考えなくねって思ったらその都度ちょっと、じゃあ瀬戸くんだったらどう動くのかなとか安城さんだったらどう動くのかなっていうのを考えつつ、安城さん瀬戸くんがどう動くっていう以外にどういう動き方したら読者さん的にも嬉しいかって考えた結果をネームに描いてる。

トウコ

なるほど〜

加藤雄一さん

単純にキャラが動いてるだけだと
読者さんにとってはつまんないかもしれないんで笑

トウコ

今回インタビューするにあたって、
前から気になってたんですけど、
「安城さん」を全部読みまして、

加藤雄一さん

トウコ

めっちゃ面白かったです笑

加藤雄一さん

ありがとうございます

トウコ

結構最初の方より巻が進んでいく方が
面白くなってくなあって思ってて

加藤雄一さん

笑笑

トウコ

女性読者さんの方が巻進んでいく方が面白いって
感じるんじゃないかなと思いました。

加藤雄一さん

あーそうですか?

トウコ

最初の方はかなり男性サービスが多かったんで、
女性には刺さらないかなって思ってたんですけど、
話が進んで2人の関係が進んでいくと、
普通の恋愛漫画になって行ったんで、
そこが多分女性としては刺さる人が多いんじゃ無いかなと。

加藤雄一さん

はいはい

トウコ

話の展開的にそうなっていくかなとは思うんですけど、
そういう2人の関係が進んでいくっていうふうにしたのは
編集者さんとの相談とかもあったりしたんですか?

加藤雄一さん

編集者さんとはその相談はしてないですね

トウコ

そうなんだ?

加藤雄一さん

うん。
プロット作ってないから編集者さんに
プロット見せられてないんですよね

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

ネームの修正もほとんどもらわないですし

トウコ

あ、そうなんですか

加藤雄一さん

なんか今の担当さんがあんまり修正言ってこない人で、
僕としてはありがたい。

トウコ

ははは笑

加藤雄一さん

「ヒニイル」やってた頃はネームに不安がある段階で提出したりしてて。
今もそれが無いわけじゃないんですけど、
基本的にはこれだ!っていうものを毎回出してるんで、
そのせいで毎回「死ぬ…」って毎回思ってる笑
「これでいいだろ:「オモロイやろこれ」って笑

トウコ

笑笑

加藤雄一さん

たまに「ここはちょっと…」ってあるんですけど
それもまあ些細なことだったりして、
話の流れみたいなのはあんま直してないんで、
そういう意味では編集者さんとやりとりしたというよりは
僕がノリで描いてて、結果そうなってる

トウコ

はあ〜

加藤雄一さん

たまに編集者さんに
「ここで終わってますけどこのあとってどうなるんですか?」って
聞かれた時に「さあ?」って答えてる笑

トウコ

笑笑

加藤雄一さん

「ちょっとわかんないっす」って笑
「多分こんな感じになるとと思うんですけど
全然違う感じになるかもしれないです」って
めちゃくちゃ適当なこと答えたりしてるし、
現にそれしか答えられないので。
考えてないわけじゃないけどほぼ考えてないから

トウコ

ふーん

加藤雄一さん

よく読者さんが「最後どうなるんですか」とか聞かれて。
他の作家さんと雑談するときに言ってるんですけど、考えてないんで笑
「このあと大学生編とかやるんですか」とか
聞かれるんですけど考えてない。
やれるんだったらやるかもしれないし、
終わりそうだったら終わっちゃうのかなみたいな。
まあ、人気次第笑

トウコ

ははは笑

加藤雄一さん

恋愛要素足してったのは、
やっぱり2人の関係性がそういうノリになってくよなって思ったから。
最初はそんな、1巻描いてる時は
あんまり付き合う付き合わないって考えてなくて、

トウコ

そうだね

加藤雄一さん

こういう女の子がいたらこういう男の子は頑張れるだろ!
っつって描いてて笑

トウコ

ははは笑

加藤雄一さん

もうそれだけで描いてて。
真面目な男の子って損してるなって思ってたからずっと笑

トウコ

笑笑

加藤雄一さん

そういう真面目な人が、
ちょっと元気が出るような漫画が描ければいいなって
いうノリだったので。
巻が進んでいく流れで
「この2人付き合うよなきっと」みたいなことを
思った時に、だったらこういう感じになるよなとか。

トウコ

なるほど

加藤雄一さん

たとえば4巻で安城さんが、瀬戸くんの都合を考えないで
振り回したりしたときに落ち込むというシーンを描いたんですけど、
そこも最初の頃のだったら
安城さんはそんなことで落ち込まないんだけど、
瀬戸くんと関わっていくうちに瀬戸くんのことをどんどん知ったから、
逆に落ち込むよなって思って描いたりしました。

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

そういう関係になっていった結果、
恋愛要素がどんどんでてきちゃった、みたいな感じ笑

トウコ

なるほど〜

加藤雄一さん

なのと、その方が読者さん的に反応も良かった。
「こういうの好きなんだ、みんな」みたいな笑

トウコ

ははは笑

加藤雄一さん

そういう要素をキャラクターの目線に立って考えつつ、
読者さんが喜ぶっていうのを織り交ぜつつ、っていうので
やっていった結果、増えてったって感じですかね

トウコ

へえ〜
じゃあ一番最初に出した安城さんの小ネタを見て、
編集者さん的に「これはこの人に自由にやらせた方が面白くなる」って
思ったんですかね

加藤雄一さん

いや、わかんない笑

トウコ

わかんないか笑

加藤雄一さん

なんかあんまり聞いたことないんでそこはわかんないけど。
僕的にはありがたいんで笑
何にも言わないで描かせてくれて笑
本当にありがたいです

トウコ

作中に愛知県ネタがよく出てきますけど、
そこはこだわりとかあるんですか?

加藤雄一さん

それに関しては結構編集者さんに言われましたね。
言われて取り込んだって感じですね。

トウコ

ほう

加藤雄一さん

僕としては安城さんをリアルに描きたくて、
僕が今住んでる場所の近くに住んでる、
この街に住んでるってことにしちゃって、
土地の構造とか違うところも結構あるんですけど笑
一応リアルに安城さんここにいるってことにしちゃって、
そういう感じで考えていったんで、
地元付近を街並みの背景で出すようにしてます。

トウコ

ふーん

加藤雄一さん

そしたら結果、愛知県なんで、
たまたまスガキヤとか大須とか愛知ネタを出した時に、
編集者さんから「こういうのいいっすね」って反応があって、
編集者さんはその漫画の最初の読者さんでもあるので、
「ああいいんだ」って思って、
そっから愛知っぽいネタを混ぜつつやったりしました。

トウコ

なるほど

加藤雄一さん

嘘ついたりもしてるんで笑

トウコ

ははは笑

加藤雄一さん

カラオケで「愛知県民の歌」とか歌ってりしてるけど
そんな歌ねーよって笑

トウコ

あ、そうなんだあるのかと思ってた笑

加藤雄一さん

ないです僕が考えたので笑

トウコ

加藤雄一さん

そういう嘘とかもついたりして、
愛知県民ぽさみたいなのを安城さんに出していって。
そうしたことでよりライブ感が濃くなったかなと思うので
結果良かったかなと思ってる。

トウコ

うんうん
西尾さんか西尾くん出してください笑

加藤雄一さん

西尾くん?
そうっすね、苗字っぽいのでありですね
新キャラ出す時に…新キャラ出すかな?笑

トウコ

加藤雄一さん

なんかだいぶ新キャラ出しにくくなってきてるんで…

トウコ

確かに、もう終わり…っていうか、
高3でだいぶ煮詰まってきた感じですもんね

加藤雄一さん

そうそう。
「安城さん」、決めてたことが一個あって、
絶対にライバルキャラを出さないっていうの

トウコ

ああ〜

加藤雄一さん

恋のライバルですね

トウコ

うんうんうん

加藤雄一さん

恋のライバルキャラを出して、
それでドギマギさせるみたいなサービスは、
この漫画では違うなってずっと思ってて。
安城さんと瀬戸くんだったら絶対この2人がくっつくのは
絶対なんだけど、この2人以外では問題を作らない、
この2人が自分達の恋や関係性に悩むのは、
この2人の問題だけで悩んで欲しくて

トウコ

はあ〜

加藤雄一さん

たとえば豊田さんだったら犬山くんとのセットで、
知多さんとトキオくんでセットで。
このペアの関係みたいなのは絶対崩したくない
っていうので作り始めたら、新キャラ出すと
ライバルみ出るじゃないですか。

トウコ

確かに笑

加藤雄一さん

たとえば新しい女の子がポンって出てきたら、
ライバルかな?って読者さんは思っちゃうし、
新しい男の子が出てきても「これは波乱の予感がするな」って
思っちゃうんですね

トウコ

うーん思っちゃうかも

加藤雄一さん

なので出せない笑

トウコ

ははは笑

加藤雄一さん

元からクラスメイトでいた子とかを
ピックアップして読み切りで描くみたいなのは
やったりしたんですけど

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

新キャラ出すのムズイなと。
まあでもたとえばでも先生とか
そういうので出せるかもと今は思ってますね

トウコ

安城さん達ファッションが結構可愛かったりしますけど
それはどういうふうに取り入れてるんですか?

「やんちゃギャルの安城さん」より
加藤雄一さん

最初の頃は色々資料を見つつ、自分のセンスを入れつつ…。
今はそれがないわけじゃないですけど、最初の頃が
「自分のセンス:情報」で「5:5」だとしたら、
今は「1:9」くらいにしてますね

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

今Instagramとかで
自分のファッションアピールしてくれてるじゃないですか。
モデルさんとか。そこからほぼまるっと笑

トウコ

インスタでチェックしてるんだ?

加藤雄一さん

インスタとかXとか…。インスタが多いですね。
あとWEARってサイト?

トウコ

ああ、わかります

加藤雄一さん

その辺をめちゃめちゃ参考にして、
まるっとパクるとなんか言われたらやだなーと思うんで、
この人が着てるこれとこの人が着てるこれを組み合わせたら
いいんじゃね?ぐらいのところを自分のセンスに任せてて、
基本的には画像検索してます

トウコ

なるほど〜

加藤雄一さん

安城さんこういうのこういうの着るよな、
こういうの着ないよなっていうのは意識しつつ。
なんかギャルが…みちょぱさんとかをよく参考にしてたんですけど

トウコ

うん

加藤雄一さん

「絶対に露出してるところを入れる」みたいなこと言ってて。
絶対に肌をどっか見せるってファッションのこだわりで言ってて、
なるほど!って思って、上はめちゃくちゃ着てるけど
脚出てるなみたいなのとか、ブカブカのズボン履いてるけど
へそでてるなとか、絶対どこか露出させるのを意識してます。

トウコ

豊田さんと犬山くんが美大に行くみたいな話になってますけど
そこは県芸が出てくるんですかね?

「やんちゃギャルの安城さん」より
加藤雄一さん

県芸を出しますね多分笑

トウコ

笑笑

加藤雄一さん

一応県芸を目指している予定なので、県芸って言わないですけど笑
怒られたら嫌なんで「県立芸大」って言ってるけど
そんなもん「愛知県立芸術大学」しかねーやんっていう笑

トウコ

はは笑

加藤雄一さん

いつか出しますね
多分受験の時になったら、県芸に受験しにいかなくちゃならないんで。
その時になんとか県芸に取材させていただければいいなって思ってる笑

トウコ

笑笑

加藤雄一さん

写真撮らないと背景が…。
僕背景はアシスタントさんにもう全部任せてるんです。
僕描いてないんですよ背景。
指示はするんですけど、描けないから笑
アシスタントさんの方が僕より100倍上手いんで笑

トウコ

へえ〜笑

加藤雄一さん

自分がどこを舞台にしているのか、
ちゃんと資料を用意しないと描けないじゃないですか。
だから写真を撮ったりするのが結構大変で。
県芸受験する時とか写真撮らしてほしいってお願いしに行かなきゃ笑

トウコ

ははは笑

加藤雄一さん

もう15年くらい前じゃないですか。
だいぶ忘れちゃったし。
県芸確かだいぶ変わってますよね

トウコ

そうそうそう
なんか改造されたみたいでだいぶ変わったそうですね

加藤雄一さん

その辺も今全然知らないから、
ちょっと取材行かなきゃないつかって思ってますね。
まああと2年後くらい笑

トウコ

ははは笑

加藤雄一さん

2、3年後くらい受験するターンが来ると思うんで、
まあその時にはちょっと取材しなきゃなあって思ってます。

トウコ

楽しみにしてます笑

加藤雄一さん

もう15年前なんで…やばいっすよもう笑

トウコ

ほんとやばいっすよね
時間の経ち具合が…笑

加藤雄一さん

ほんとやばいっすよもう記憶がだいぶ薄れてるんで…

「やんちゃギャルの安城さん」より
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アシスタントをしていた頃の話を教えてください

加藤雄一さん

最初にお伝えしたんですけど、
大学3年の後に休学して、夏くらいから冬くらいまで
アシスタントしました。4ヶ月くらい。

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

貞本先生が描いてた「エヴァンゲリオン」って
作品のアシスタントをしてました。

トウコ

はいはい

加藤雄一さん

僕めっちゃ技術力がない時に
たまたまそこのアシスタントになれて

トウコ

ほ〜

加藤雄一さん

半分騙した感じでアシスタントになれたって
感じなんですよね笑

トウコ

なんだそれ笑

加藤雄一さん

効果線が綺麗ってことで
貞本さんが僕を取ってくれたみたいなんですよ。
集中線とか効果線をこの子は綺麗に引けてるって

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

僕効果線とか集中線をトーン使ってたんで笑

トウコ

はははは笑

加藤雄一さん

トーンであるじゃないですか、効果線とか集中線の

トウコ

あるある笑

加藤雄一さん

その時原稿にそれを使ってたんで。
忙しかったのもあるしよくわかんなかったから

トウコ

うーん笑

加藤雄一さん

だから僕効果線とか集中線とかも本当は引けなくて、
なのにアシスタントやることになっちゃったんで、
やべえどうしようめっちゃ使えない人間だってなっちゃって

トウコ

ええ〜そっか〜💦

加藤雄一さん

いや、言われてないですけど、
自分自身がこれ使えないわ俺やばいわってなったんで

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

貞本先生のところ、運がいいことに
仕事の空き時間がめちゃめちゃあるんですよ。
貞本先生の指示が来ない時間がすごいある。
1日12時間労働くらいなんですけど、
たまに4時間くらい仕事ない時とかあったりしたんですよ、

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

もう1人めちゃめちゃベテランのアシスタントさんがいて、
最初のうちは僕結構下手だったから、
その人に効果線を練習したやつ見てもらったりとか色々して

トウコ

はあ〜

加藤雄一さん

その空き時間にめちゃめちゃ練習して、
とにかく効果線だけはめちゃくちゃ上手く引けるようにしたんですよ笑
3日くらいで死ぬ気でやって笑

トウコ

すご笑

加藤雄一さん

ある程度使えるようになってから、効果線任されたりとか。
ちょうど2号機が量産型と戦い始めたくらいのシーンで、
木がめっちゃあるんですけどその木を描く仕事をやったりとか

トウコ

へえ〜

加藤雄一さん

ほんとに全然使い物にならなかったので、
ほんと申し訳ないなって思ったんですけど、
特に恨み言言われたりとかも全く無く、
優しかったというか優しく声をかけられるという感じでもなくて、
貞本先生は黙々とラジオや音楽聴きながら仕事されてる方なんで

トウコ

ふーん

加藤雄一さん

仕事のない時にとにかく練習して短時間で技術力を上げて、
仕事が回ってきたら最大限それに応えるみたいなのを
やったおかげで、技術力が上がったかな。
背景はこう描くんだとかこういう線の使い方するんだとか、
最初のスタートラインに立つくらいまでは
技術力が上がったと思います。

トウコ

へえー

加藤雄一さん

そのおかげでその後の作品は背景を自分でちゃんと描いたりとか、
効果線ちゃんと引いたりとかできるようになったんでよかったなと思う。

トウコ

うんうん

加藤雄一さん

まあ今もう背景描けないんですけど笑

トウコ

笑笑
実りのある期間だったんですね

加藤雄一さん

いい期間でした。
めちゃくちゃ大変だったんですけどね。
いちいち東京行くのも大変だったし

トウコ

あ、東京行ってたんだ!

加藤雄一さん

東京行って、親戚のおじさんが単身赴任でその時住んでたんで、
ちょっと申し訳ないですけどって転がり込んで

トウコ

へえー

加藤雄一さん

アシスタントしてる期間はちょっとそこにお世話になって

トウコ

交通費は出してもらえたんですか?

加藤雄一さん

いや、自分で出しました

トウコ

あ、そうなんだ

加藤雄一さん

だからほとんど、アシスタントやったけど収入にはなってない

トウコ

ああ〜

加藤雄一さん

たまたま運がいいことに大学生だったから、
お金を稼ぐためにアシスタントやっていたって感じよりは、
漫画の仕事現場を知るためにアシスタントをやってたって感じ

トウコ

勉強しに行ったって感じですね

加藤雄一さん

勉強しに行ったって感じですね。
そのおかげでコミカライズの連載とかできたのでよかったです。
楽しかったなあって笑

トウコ

よかったよかった笑

後編へ続く

著:加藤雄一
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